WORKS
制作事例

yutrition様

キーワードは『洗練』 魂のロゴマーク

メジャーリーガーのダルビッシュ有選手がアドバイザーを務めるサプリメント「yutrition」のブランドロゴマークのデザインを制作させていただきました。
(このお仕事は制作会社様からご依頼いただいた案件で、
進行窓口:制作会社様、アートディレクション&デザイン:アドラクションによる制作物です。)

<デザイン着手に際して>
デザインを進めるにあたり、まずはダルビッシュ選手からのご要望がありました。
それは『不死鳥をモチーフにした、洗練されたデザイン』というものでした。

『洗練』というワードを聞いた時、そこにはとても高いハードルを感じました。
日頃お仕事をしていると、『洗練』というワードはわりとよく出てきくるのですが、
そのワードを発しているのがダルビッシュ選手ということになると、言葉の重みを感じずにはいれらませんでした。

ダルビッシュ選手といえば、世界で活躍する超一流のプロ野球選手です。日ハム時代には素晴らしい成績を残されていますが、メジャーに行ってからもさらにすばらしい活躍をされており、今や野球界の歴史に名を刻む、世界最高峰の投手です。
そんな超一流から求められた『洗練』。どういうカタチでご希望に沿うことができるだろうか。。

ただ高いハードルを感じてはいたものの、この案件には自分の中でかなり燃えるものがあり、プレッシャーを感じるというよりはワクワクしかありませんでした。

私自身がプロ野球ファンなこともあり、自分のデザインをダルビッシュ選手に見ていただけるというだけでも最高に燃える案件なうえに、ダルビッシュ選手は同じ大阪出身(ダルビッシュ選手は羽曳野市)ということもあり、その親近感が炎をさらに熱く燃え上がらせてくれていた気がしています。

自分が今できる最高のデザインを、ダルビッシュ選手に投げよう。

そういう想いでこの案件に向き合いました。


<正しいロゴ>
ロゴに対する考え方・作り方というのは、デザイナーそれぞれかと思います。
そして各々のロジック・感性・センスで作れば良いと思います。

ただロゴデザインはデザインの集約なので、キャリアを積み、多くの気付きを得るほど洗練されていくものであるとも思います。私の場合、ロゴデザインのお仕事はけっこうやってきており、企業のロゴに商品のロゴにサービスのロゴに周年ロゴ…と、少なくとも300種類以上は作ってきました。

そうしていろんなロゴをデザインしキャリアを重ねる中で、『秀逸なロゴはサインデザインみたいなところがある』という考えに行き着きました。ここで言うサインは、建物の中のトイレの男女マークやエレベーターマーク、駅や道路で見る三角や丸の標識のデザインなどを指します。

ロゴとサインの共通項として、見た人に一瞬で情報やイメージを伝える強さが必要であるということがあります。サインの中でも例えばトイレの男女マークは、正円に三角形・四角形などの図形の組み合わせで表現されています。

道路標識は、“究極に削ぎ落としたデザイン”です。
基本的には正円や三角形・長方形や斜線といったシンプルな要素のみで構成されたものとなっています。



このようなシンプルなデザインになっているのには、理由があります。

サインや看板などは、人々の生活のためにあります。それらを円滑かつ安全にするために、絶対に目に入ってもらわなくてはいけません。正円や三角形は、あらゆるカタチの中でも最もシンプルなカタチでありそれゆえに自己主張が強く目立つので、サインや看板にとても適しているのです。

また、特に正円については自然界でも多く見られることもあり違和感なく見ることができるので、人の目にわかりやすく、伝わりやすくなっています。「地球」に「月」に「水中の泡」、石を投げた時にできる「波紋」など、自然界の中には正円の形のものが無数に存在します。

さらに弧を空に描く「虹」も、実は半円を描いていたりもします。人々が見る自然界の中の正円は自然に生まれてきたものなので、特に美しく見えるのかもしれません。


そのようなことを考えながらデザインする中で、人が昔から愛してきた自然界の中の正円を有効に使うとデザインも愛されるものになると確信するようになり、私の中ではロゴを制作していく前提に、このようなニュアンスが強く存在しています。




<他社事例>
そんなニュアンスをご理解いただいた上で、今回、yutritionのロゴをデザインするにあたりフォルムの組み立て方の参考にした、とても秀逸かつ有名なロゴを2点、ご紹介します。

まずは、APPLEのロゴ。

いわずとしれたロゴですが上の図を見ていただくと、黄金比と正円のみで構成し、美しさを感じさせるための計算されたデザインになっているのが分かります。



次に、ツイッターのロゴ。

こちらも、アップルと同じようにフォルムに計算があるのが分かります。
そしてこのふたつのロゴには、とても重要なヒントが隠されています。

それは、不規則な曲線がなく、正円を形どってフォルムを描いていることです。
これにより美しく洗練された形となり、先ほど語ったサインのような強さに、ハイセンスなデザイン性を融合することに成功しているのです。

Yutritionのロゴは、これらのロゴと同じく、正円を形どって規則性を持たせることで「洗練」させ、完成させたものとなっています。


<yutritionのフォルム>
以下の図をご覧ください。正円が持つ曲線のみでロゴを描いていることを確認いただけると思います。

タイポグラフィも、オリジナルで作成したものです。
こちらについては、フェニックスのシンボルマークのトーンにマッチするフォルムにしています。こちらについての説明は割愛しますが、規則性を大切に、丁寧に作り込んだタイポグラフィとなっています。

また、ロゴを使用していただく際の注意点などをまとめたロゴマニュアルも作成し、デザインデータとともに納品させていただきました。

<魂のロゴマーク>
こうして作ったyutritionのロゴマーク。サプリメントやボトル・Tシャツなど多くの商品に展開されて2020年にOPENされた公式サイトから購入いただくことができ、とても好評を博している模様で、私としても嬉しい限りです。(商品のパッケージデザインは、弊社によるものではございません。)

そして最後にもうひとつ、これを完成させるにあたって重要であった要素のお話を。

その最後の重要要素は、『魂』です。

このロゴマークをデザインしたのは2018年の3〜4月ごろ。アドラクションを立ち上げて1ヶ月経ったばかりの頃でした。
15年以上歩んできたデザイン業界から一歩踏み出して個人事務所を立ち上げたものの、これからうまくやっていけるのか、とにかく不安でいっぱいな時期でした。

でもだからこそ、ひとつひとつの仕事に全力投球で向き合っていました。そしてそういった不安ではあるけれど、気持ち的にはとてもワクワクしながら作っている状況というのは、今思えば自分がゾーンに入った状態にあった気がしています。

実は、このロゴデザインで先方からOKをいただくまでに、5案のボツ案を出しており、この完成形デザインは苦戦した状況から絞り出した6案目のデザインでした。
しかしそうした逆境の状態で『魂』を込めてデザインしたからこそ、生命力の宿った強いフェニックスを生み出せたのだと思っています。

ちなみに昨年の商品発表後、ダルビッシュ選手が自らフェニックスをこのロゴのモチーフにした理由ご自身のyutubeチャンネルで語られている動画がアップされています。ここでは、ダルビッシュ選手はこのロゴ制作をしていた2018年ごろ、手術や怪我などで選手として『もう終わりなんじゃないか?と正直思っていた。』と衝撃的な内容が語られています。

ただ、『完全にあきらめていなかった。だから、そっから俺は帰ってくるよ。死なない。』と強く思うために、フェニックスにした。とおっしゃっています。
そして、『その後の2019年にどんどん良くなり、それがピークと思いきや、その後の2020年にはさらに上昇、そして商品を発売してすぐに月間MVPも獲得し、このロゴを作って本当に良かったと思ってます。』と語られています。

フェニックスにこめられた想いは、制作時からなんとなく感じられるところもあったのですが、ここまで追い詰められた状況であったことは知らなかったので、このエピソードを聞いたときに、デザインしていた当時の自分の状況に重ねて見たところもあり、改めてとても感慨深かったです。

これからもダルビッシュ投手のピッチングのようにと言うとおこがましいのですが、自分の持つ技術をこれまで以上に『洗練』させていけるようにがんばっていきたいと思います。

最後にこのお仕事に出会わせてくださったイベント会社様、ダルビッシュ選手と会社のみなさまに心から感謝したいです。本当にありがとうございました!