小さなスクリュから、ものづくりの物語が広がる。ノベルティ台紙デザイン。

コベルコ・コンプレッサ様

制作時期2025年7月
制作体制アートディレクター兼デザイナー(1名)
担当領域アートディレクション/グラフィックデザイン
 
ポイント
  • 小さなスクリュの背景にある、技術と人の物語を台紙に。ものづくりの現場を描き、キーホルダーを手に取った方が、その技術を支える人や仕事にも興味を持てるデザインを目指しました。

若手社員の皆さまのアイデアから生まれた、技術を伝えるノベルティ

コベルコ・コンプレッサ株式会社様より、スクリュキーホルダーの台紙リニューアルをご依頼いただきました。既存のキーホルダーに組み合わせる、幅70×高さ130mmの台紙のデザインリニューアルを担当しています。

このキーホルダーは、新入社員研修のワークショップで生まれたアイデアを、ご担当者様が形にされたもの。「自社の魅力を、どうすればユーザーに届けられるか」という問いから、コンプレッサなどの心臓部であるスクリュに着目されたそうです。

キーホルダーのモチーフとなったスクリュは、1本の太い鋼材から精密に削り出して作られています。ご担当者様は、その技術を象徴するスクリュをミニチュアにしたキーホルダーを通して、自社の技術力を感じてもらいたいと考えていらっしゃいました。展示会のブースで手に取った方が興味を持ち、営業担当者との会話が広がることも期待されていました。

ご要望を踏まえ、表現の幅を広げる

従来の台紙は、黒を基調に、コンプレッサの機種名「KOBELION VS」を大きく配したデザインでした。

リニューアル前の機種名入りスクリュキーホルダー台紙

今回は、ほかの製品にも共通で使えるよう機種名を外すことや、海外での使用を見据えて日本語の表記を控えることも、ご要望として伺っていました。

また、スタイリッシュな印象を基本としながら、弊社がおすすめするスタイルも含めてご提案を希望されていました。そこで、従来の黒い台紙にとらわれず、スクリュの魅力を伝える表現を検討しました。

スクリュの魅力を、3つの方向から表現

同じスクリュを題材に、ものづくりの背景、先進性、専門性など、前面に打ち出すイメージを変えたA〜Cの3案をご提案しました。


提案時には、「カジュアル・ユーモラス」から「フォーマル」までの印象を軸に、各案と従来のデザインを並べたマトリクスもご用意しました。見た目の違いだけでなく、どのような印象でスクリュや企業の魅力を伝えるかを比較していただくためのものです。

カジュアル・ユーモラスからフォーマルまで、A〜C案と従来デザインを比較したマトリクス
提案時のデザイン案マトリクス。右端は従来のデザインです。

A案|ものづくりの背景を伝える
コンプレッサの心臓部であり、お客様の技術力が詰まったスクリュ。その背景にあるシーン(ドラマ)をビジュアルとして見せることで、歴史や技術力を感じさせるデザインを目指しました。
写真版をベースに、そこから展開したアニメ風イラスト版もご提案。展示会などで配布する際に興味を持っていただき、営業担当者とのコンプレッサトークに花が咲くことを狙っています。提案時には「小さな螺旋に大きなドラマ。」というコピーを添えました。

A案の写真版とアニメ風イラスト版の台紙デザイン
A案:写真とアニメ風イラスト、2つの表現で比較しました。

B案|螺旋の光で先進性を伝える
スクリュの螺旋を、カラフルな光の線で表現。Apple製品のような高級感と先進性を感じさせるデザインを目指しました。
黒い背景に映える色づかいにより、「エネルギー効率、冷却効率、メンテナンス性、耐久性、コスト面への配慮」など、スクリュによって生み出されるさまざまなメリットを表現したいと考えました。

光の螺旋で先進性を表したB案の台紙
B案:スクリュの造形を、色鮮やかな光の線で表現。

C案|図面の表現で専門性を伝える
図面のテクスチャによって技術力を表現した案です。フォーマルな印象と専門性を感じさせるテイストで、好みを問わず、幅広いターゲットに対応できるデザインを目指しました。
シルバーと、ブルーに図面のテクスチャを組み合わせた2つの方向をご提案しています。提案時のスクリュの線画は仮の形状とし、採用の場合には、正確な形状表現をお客様と相談して仕上げる想定でした。

図面と線画で専門性を表したC案のシルバー版とブルー版
C案:シルバーとブルーの2つの色展開。提案時のスクリュの線画は仮の形状です。

※上記は提案時のデザイン案です。コピーやロゴの位置、細部の表現は完成版と異なります。画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

技術を支える「人」が見えるデザインに

完成版は、A案のアニメ風イラストを生かしたデザインに仕上がりました。開発の打ち合わせ、加工や測定に向き合う技術者、工場の風景を組み合わせ、スクリュの背景にあるものづくりを描いています。

ブルーを基調に、場面を斜めに区切って構成。技術を扱う企業らしい印象と、イラストならではの親しみやすさを両立させました。キーホルダーを重ねたときにも、周囲に描いた人や現場の表情が見える構成です。

完成したスクリュキーホルダー台紙の入稿デザイン
完成した台紙のデザイン。

コピーの内容など、細部を最終調整して仕上げました。

手に取った先の、会話につながるように

完成した台紙にスクリュキーホルダーを取り付けた見本
キーホルダーを取り付けた完成見本。金属のスクリュと、台紙に描いたものづくりの現場が重なります。

ノベルティは、手渡して終わりではなく、企業のことを知っていただく入り口にもなるもの。「これは何の部品だろう」「どのようにつくられているのだろう」。そんな関心が生まれるよう、キーホルダーの背景にある技術と人の姿を台紙で伝えました。

海外での使用も見据え、日本の文化である「アニメ」の表現が、海外の方にも興味を持っていただき、会話が広がるきっかけになればという思いも込めています。

小さなスクリュから、ものづくりの物語が広がる。お客様のアイデアと思いを受け止め、展示会でのコミュニケーションにつながることを目指した台紙デザインです。