2020日本BtoB広告賞 銀賞受賞作品

デンソーテン様
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アイデア
  • スピードメーターやメカニカルなグラフィックなど未来感を感じさせるビジュアルで、理屈抜きにユーザーにワクワク感を与えるデザインに仕上げた。

 この入社案内冊子は、とにかく“就活生をわくわくさせること”をコンセプトにデザインを進行しました。
 カーエレクトロニクスメーカーであるデンソーテン様の事業は先進性にあふれており、ワクワクする内容がいっぱいです。それらはこれから自動運転時代が近づいてくるにつれ、さらにおもしろいものとなっていくでしょう。
 そんなわくわく感を就活生にどのように伝えるか?ということで、いろいろと考慮した結果、コンセプトは“理屈じゃなくて、わくわくするデザイン”と設定しました。

 日頃、商業デザイナーをやっているとその職業上、お客様に作ったデザインに関する説明ができないといけません。ロジカルに説明できてこそプロです。
 例えば使用する色については“赤い色は、興奮色だからそれによってワクワクさせる働きがあります”とか、レイアウトについては“余白を多く持たせることで上質感を演出しています”とか、そういうロジカルな説明です。

 しかしデザインはそういうセオリーだけで考えても限界があります。説明できないけど、“この形を見るとなんとなくわくわくする”“この色をこの色と組み合わせると、なんかかっこいい”。そういった具体的な説明ができない、“なんとなくの感覚”もすごく大事なのです。そのような説明できない感覚を大切に、この作品をデザインしました。



 

表面デザイン
中面デザイン

工夫したポイント

<工夫その1>
この冊子はファイルとセットとしているのですが、ファイルの丸い窓から中の冊子の車が見える仕様で、ユーザーが思わず開きたくなるように設計しています。そして、ファイルから中身を取り出すと、MAKE SUPRISE!の文字が出る演出となっています。

<工夫その2>
表紙のデザインは、レーシングゲームで出てきそうなビジュアルに。
スピードメーターやメカニカルなグラフィックって、なんかわくわくしませんか?

<工夫その3>
開いた中面では、未来のクルマ社会をイメージしたイラストを背景に、事業を説明しています。少し難しい内容も、この世界観の中で説明すれば、わくわくしながら読めるはず。また、イラストをよく見てもらうと、未来感を細かく盛り込んでいます。



まとめ

 コンセプトのところでも解説しましたが、このデザインのポイントは“感覚とロジックの両方を大切にしたクリエイティブ”と言えます。
 BtoBという特性上、ある程度はロジックを大切にしながら作らないといけないと思います。私の場合、“ロジカルにデザインを制作できるようになった”という感覚を得られるまでに、10年ぐらいかかった気がしています。そこから数年はロジックがすべてと思ってデザインを制作してきました。

 ただ、現在デザインをはじめて15年目以上経過したところなんですが(記事執筆時)、“ロジックで説明できないこともいっぱいある”と思うことが増え、そういったことの重要さを考えるようになりました。また考えは変わっていくかもしれませんが、これはそのようなことをよく考えている時期に作ったデザインです。説明するのが難しいのですが、そんな作品です。